新地方公会計制度の概要
自治体の予算は、その年度の支出はその年度の収入を充てるという会計年度独立の原則に基づいて行われており、そのため会計の手法も単式簿記・現金主義が採られています。
しかし、この手法はその年度のお金の動きを示すものとしては大変有用ですが、一方では、その支出が現在役立つものなのか、将来にわたって役立つものなのかの判断が難しいという問題があり、また、村が保有する資産についても、現在価値の把握や、将来世代が負うべき負債の把握が難しいという課題がありました。
そこで、今の会計制度を補完するため、自治体が保有する資産・債務の実態を把握し、情報開示を徹底するための手段として、企業会計的手法を取り入れた公会計整備の取組が行われています。
平成18年8月に総務省から出された「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」では、自治体の公会計整備について、球磨村のような人口3万人未満の自治体は、平成23年度までに財務諸表の整備または財務諸表作成に必要な情報の開示に連結ベースで取り込むことを要請しています。
財務諸表作成のための2つのモデル
新地方公会計制度実務研究会が取りまとめた報告書のなかで、財務諸表を作成するためのモデルとして「基準モデル」と「総務省方式改定モデル」の2種類の手法を示しています。球磨村では、毎年度の決算状況について分析する地方財政状況調査(決算統計)の数値を基礎として作成する「総務省方式改定モデル」を採用し、作成しています。
4つの財務書類
今回の新地方公会計制度に伴い作成した財務書類は、以下の4つの表になります。
(1)貸借対照表
村が住民サービスを提供するために保有する財産(資産)と、その資産をどのような財源(負債・純資産)で賄ってきたのかを総括的に対象表示した財務書類です。また、資産合計と負債・純資産合計額が一致し、左右がバランスしている表であることから「バランスシート」とも呼ばれます。
(2)行政コスト計算書
1年間の行政活動のうち福祉活動や他団体への補助といった資産形成に結びつかない行政サービスに係る経費と、その行政サービスの提供により直接対価として得られた財源を対比させた財務書類です。
(3)純資産変動計算書
貸借対照表の純資産の部に計上されている数値が、1年間でどのように変動したのかを表している財務書類です。
(4)資金収支計算書
歳計現金(=資金)の出入りの情報を性質の異なる3つの区分(活動)に分けて表示した財務書類です。3つの区分とは、日常の行政活動によって発生する「経常的収支」、公共資産の整備に伴って発生する「公共資産整備支出」、出資や基金の積立、地方債の返済など財務活動によって発生する「投資・財務的支出」です。
連結と対象会計(団体)
球磨村では、普通会計(一般会計)で実施している事業の他にも、特別会計として国民健康保険や介護保険、簡易水道など日常の生活と密着した関係を持つ事業(公営事業(企業))を行っています。
また、こうした村が直接行う事業とは別に、ごみ処理や消防業務など一部事務組合として実施しているもの、第三セクターなどもあります。
このように、球磨村の財政は普通会計のみで成り立っているのではないため、真の球磨村全体としての資産・負債・行政コスト・収益等の情報に関する財務活動を分析するには連結財務書類を作成する必要があります。
対象となる団体は以下のとおりです。
貸借対照表
行政コスト計算書
H22_地方公共団体全体の行政コスト計算書(PDFファイル)
純資産変動計算書
H22_地方公共団体全体の純資産変動計算書(PDFファイル)
資金収支計算書
球磨村役場 総務課
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